忍野みみづの日記帳

おえかきとかゲームとかとか

Starbaseという希望と絶望の詰まったゲーム

 宇宙ゲーム界の希望

宇宙ゲームといわれて思い浮かぶゲームは何なのだろう。筆者がまず思い浮かべるのは初めの大爆死とその後の再生が特徴的なNo Man’s Sky、ブロック単位で宇宙船が作れるSpace Engineers、宇宙経済シミュとして優秀なXシリーズ、宇宙MMOとしてそれなりの地位を確立しつつも没落しつつあるElite Dangerous、おそらく最もプレイヤー人口の多く最も多くの金額が動いているEVE Online

このゲームのほとんどは宇宙船をゲーム側が提供している。ある程度のカスタマイズ機能を持ちつつも、大きな変更を加えることは不可能だ。その例外はSpace Engineersくらいだろうか。このゲームはブロック単位で機能ブロックを積み重ねてレゴのように自由に宇宙船を作ることができる。ただし、推力の軸がずれていてもまっすぐ進むなどカジュアルさの方が強いゲーム性となっている。

そして、宇宙ゲーを愛する諸君ならば誰しもが、自分だけの宇宙船を作って操縦したいと思うのではなかろうか。

そんな中でStarbaseというゲームは宇宙船建造シミュとしてあまりにも理想的なゲームだったのだ。ネジ一本に至るまで自力で作らなければいけない。そして推力中心や重心、エネルギー収支などあらゆる面で細かい設計が可能となっている。さらに簡易的なプログラミング機能によってナビゲーションや自動操縦なども搭載できるのだ。ゲーム内容がそこに振り切ったせいか他の部分がおろそかになっている感が否めないのはあるかもしれないが、宇宙船建造という点だけはかなり高い評価を下すことができるゲームと言えた。言えたはずだった。

 パンドラの箱から飛び出したもの

筆者も自分で宇宙船を設計しながらこのゲームを楽しんでいた。プレイ時間だけでいうならば600時間はあるくらいに熱中していた。もちろんバグややや物足りないゲーム性、アーリーアクセスならではの絶対的なパーツの種類の少なさなどはあったものの頻繁なアップデートでそれらは改善されていたし本リリースが待ち遠しいゲームの一つであった。

ただ、残念なことにロードマップが二転三転したりプレイヤー人口が著しく減少していたり必ずしも順調とは言い難い面もあるのは事実だった。実際、決定的な発表がある前に「Starbaseは死んでいっているのか」というタイトルの動画がYoutube上に上がっていたりと不穏な空気が流れていた。

そして、案の定というべきなのだろうか。開発元であるFrozenbyteから、ある発表がされることになった。それは開発ペースを落とすというものであった。確かに、現時点でのアクティブユーザーは目を覆いたくなる惨状であり収益の観点から見てかつてのペースで開発を続けることは困難であることは間違いないだろう。しかし、それはさらなるユーザー離れを引き起こすパンドラの箱でもあるのだ。誰しもリリースされないゲーム、発展やアップデートのないゲーム、それも未だ未完成であるようなものをいつまでもプレイし続けることはできないだろう。いくらそのコンセプトが優れていても、いくら面白い要素を持っていても永遠に更新のないゲームは終末の時を待つだけなのだ。

こうしてStarbaseはパンドラの箱を開けてしまった。

 箱の底にあるものは

Starbaseというゲームに筆者はドはまりした。今でこそほとんどプレイしていないが、かつては寝る間を惜しんで宇宙船を考えていたものだ。しかし新規要素がほとんど永久に来ないであろうことがわかった時点で足は遠のいてしまった。それでも、Starbaseがとてつもないポテンシャルを秘めていたこと、そしてなにより他のゲームにないプレイを提供してくれたことは間違いなく声に出して言える事である。

Frozenbyteは開発を中止するといったことは発表していない。あくまでペースを落とすということを言っただけである。競争が激しいゲーム業界で果たして同社が10年先まで存続しているかどうかは保証できかねるが、もしかしたらこの先の未来にStarbaseがかつてのNMSのように不死鳥のごとく復活を遂げて舞い戻ってくるかもしれない。パンドラの箱を開けたのはFrozenbyteだったかもしれないが、願わくばその箱の底に希望が残っていることを祈らんばかりである

 終わりに

これは筆者が一つのゲームに向けた祈りである。EAから巣立つゲームと言うのがどれほどあるのかは定かではないが、すべてがすべてうまくいったということはなかろう。それでも推しのゲームがせめてそのうまく言ったケースに含まれていることを祈るばかりである。

宇宙船建造シミュというジャンルは筆者が勝手に命名したジャンルではあるが、Space EngineersやStarship EVO、Avorion、Empyrion、Intersteller Riftなど数多くのゲームはこれに該当すると考えている。いずれも一長一短があるが、どれも一度は手に取ってプレイしてみてほしいゲームだ。配線やパイピング、ねじ止めまでできるゲームはStarbaseを除いて存在しないが先述のゲームの多くはかなり自由に宇宙船を設計できる。読者諸兄もぜひこの沼にはまってみることをおすすめする。それではまた