忍野みみづの日記帳

おえかきとかゲームとかとか

パラドックスポケモンのパラドックスが指す意味の考察

※ここから先はポケモンSVに関する重大なネタバレがあります!!ストーリークリアの上でお読みください!!!

 初めに

この記事を作成するにあたってみたのが以下の動画です。まあありていに言えば言っていることを丸パクリするというわけではあるんですが、そこから少し思考を伸ばしていろいろと考えてみた考察のようなものを備忘録代わりに残すことにしました。

www.youtube.com

この動画の趣旨としては、実は未来や過去のポケモンと言われているパラドックスポケモンたちは実は全て博士が生み出した空想の産物ではないかというものです。まあ都市伝説もびっくりな超理論という感じでたぶん大半の方がそんなわけないだろうと思われるかもしれませんが、動画内では様々な証拠と思われる事柄を通じてその論を話していました。

動画の内容をすべて紹介するわけではありませんが、字幕ありなどで視聴していただけるとこの記事の内容も入ってきやすくなるかと思います。

 パラドックスポケモン

そもそも、パラドックスポケモンとは何でしょうか。

パラドックスという言葉は、精選版日本国語大辞典より引用しますと「一見、不合理であったり矛盾したりしていながら、よく考えると一種の真理であるという事柄。また、それを言い表わしている表現法。逆説。」と記述されています。

パラドックスがどこを起源とするかは存じ上げませんが、少なくとも筆者はこの言葉を論理学の中で学んだ記憶があります。有名なのはアキレスと亀などでしょうか。詳しくは割愛しますが、一見ありえないように見えてよくよくその論理を聞いてみると反論をすることが難しい事柄を指すわけですね。あり得ないんだけど、それでもこういう現象は起きうるよね?という具合です。

基本的にこのようなパラドックスは論理的にどこかしらに欠点があることがほとんどです。例えばアキレスと亀なんかでは時間の刻み幅がどんどん小さくなっていくことで最終的には時間が止まるところまで行ってしまうなどということが現象を起こす理由になっているのです。時間の刻み幅を一定にしてしまえば、アキレスはものの数秒で亀を置き去りにするでしょう。時間が動かないから当然の結果として永遠に亀を追い抜けないわけですね。

というわけでパラドックスという言葉に関してみたわけですが、これがどうして未来ポケモンやら過去ポケモンとのイメージに合わないわけです。いや、確かに未来や過去にいるはずが現代にいるというのはある種の矛盾かもしれませんが、タイムマシンがある以上パラドックスかといわれると首をかしげざるを得ません。シンプルに「みらいポケモン」や「かこポケモン」と名前を付けなかったのはなぜなのか。

筆者はここに核心部分があると感じています。

 時系列の矛盾

パラドックスを矛盾している事柄というように捉えなおすと、確かにパラドックスポケモンたちは矛盾に満ちています。

初めてコライドンやミライドンがパルデアに来たのはいつだったか、ゲーム内では詳しく明かされることはありませんでした。しかし、登場する博士の見た目や観測ユニットに残された日記を考慮すると少なくともペパーの年齢以上は遡ることはないだろうと考えられます。

そして、1匹目の伝説のポケモンの転送以降にパラドックスポケモンたちが送られてきているという記述があります。つまり捉え方によってはこの時点からパラドックスポケモンが出現したという風にも考えられるわけです。

しかし、バイオレットブック/スカーレットブックに記述されているパラドックスポケモンたちは少なくとも200年前の時点で登場しているというのはどうにもおかしいわけですね。眉唾物として扱われてしまったこの本は果たして真実だったのかというのは非常に気になる点です。

つまるところ、博士がポケモンを転送したことで初めてパラドックスポケモンがパルデアに現れたのであれば、観測隊が200年前に見たポケモンたちは何だったのかという矛盾が生じてしまいます。

 すべては夢幻

いくつか、カギとなる情報があるのでそれらをまず開示しておきましょう。

一つ目は観測ユニットに残された日記の中にある『あの本が現実となる時は近い』という言葉。これ、聞こえようによっては本の内容が現実ではないかのような発言ですよね。そして、博士の一連の研究(タイムマシンが完成したときの発言なのでおそらくそれ関係)でそれが現実となるわけですが果たして開発したのは本当にタイムマシンだったのか。本作品に登場する技術の中で取り分け技術レベルが逸脱していると思われるものは全てエリアゼロ内で完結していることも注目すべき事柄でしょう。

次に赤本/紫本内でスケッチされていたポケモンが細部が実際のポケモンと異なる点。まあ言ってもスケッチをした人物とて人間なのでミスはありましょう。しかしそれにしてはきちんと描き込まれています。だけどもし現実に存在するテツノワダチなどのドンファンポケモンが当時とは異なる姿をしていたらどうでしょうか?あるいはそもそも本の内容がまるっきり創作だとしたら?あれだけ詳細にスケッチできる程度にはおそらく観察する余裕があったのでしょうがそれにしては足というかなり目立つ部位のミスを犯すでしょうか?

そして、博士がかなり本に憑りつかれているような節がある点。観測ユニット内の日記からも分かる通り、博士はどちらの作品でもかなり研究に憑りつかれているように没頭しています。少なくとも本を幼少期から何度も読んでいることが示唆されていることや、タイムマシンというおそらくパルデアでも技術的にありえないだろうものを作り上げる熱量は理解できますが尋常じゃないほどのものでしょう。

これらや数々のゲーム内の描写から考察すると、テラスタルや諸々の技術体系は時空系の技術ではなく幻術系のものではないかという仮説を立てることができるのではないでしょうか。

なぜエリアゼロ内部でしかタイムマシンは使えず、AIは出られないのか。それはそれらが全てとあるポケモンが見せている幻だからです。あるいは現実を曲げる能力といってもいいでしょう。本来あり得ないはずの技術(これは日記内でもタイムマシンなどが不可能であると博士自身が認めている)を作ることができたのは、実は歪んだ現実の中で出来た仮初のものだからということです。

AIを維持するために膨大なエネルギーが必要というのは理解はできます。仮に脳をあのサイズで再現するのは不可能ではないにしてもスパコンなどで演算したものを博士ロボットに送るなどでも実現はできます。実際主人公たちが来るまでスリープ状態にあったことからあれが外部端末であることは明らかです。そして、高度な演算のためには大量の電力が必要になるでしょう。しかし、それがエリアゼロからできる子tができないということにつながるかというと疑問が残るわけです。映像を送ることができるのならば、遠隔でロボットを動かすくらいの芸当はできてしかるべきでしょう。

そしてタイムマシンもまた、実際に時間移動を可能にしているのではなく任意のボールに博士が想像したポケモンが創造されて入れられているのです。作中においてどこにも未来、あるいは過去のポケモンであるという証拠は提示されていません。すべては博士の言葉でしかないのです。一応遺伝子解析をした結果からの結論のようですが、近縁種かどうかがわかってもどちらが祖先でどちらが子孫なのかというのは判別はかなり困難を極めることでしょう。それを時系列まで断定しているのはそうだと想像していたポケモンだからではないでしょうか。

スケッチのミスも、本のポケモンと実際のポケモンが本当に違うのだからミスも何もないでしょう。本の内容が真実でもガセでも、想像したものと作ったものが少し違う見た目になるのは人間だから当たり前ともいえるわけです。そして、そうでありながらかなり忠実に再現されているのは博士が本を読みこんだからに他ならないわけです。

ここでその黒幕というか、原因となるポケモンがなんなのかというところについても触れておきます。結論から言うと、本の最後に記載されている円盤?のポケモンがそれにあたるのではないかというのが有力でしょう。おそらく、本の著者ははぐれた際に幻覚を見せられたことで本の出版につながったのではないでしょうか。ここら辺は証拠というか情報があまりにも少ないので推測の域を出ないのですが、候補もこのポケモンくらいでしょう。幻のポケモンを夢想するくらいには隊員は想像力豊かなのでもしかしたらハーブがそのまま危ないハーブで……みたいな展開もあるかもしれません。

円盤のポケモン

ここまで話せばなぜパラドックスポケモンなのかというのもある程度見えてくるでしょう。本当はありえないけど実際に存在するポケモンだからこそ、パラドックスポケモンということです。図鑑にこれが正式に登録されているということは、報告した博士か図鑑制作者である担任の先生は知ってか知らずか本質を突いた名前にしてしまったのかもしれませんね。

 テラスタル

エリアゼロに触れるならば当然テラスタルにも触れておかねばなりません。エリアゼロ産である結晶はセロラボを覆っていました。その中に博士がいた点を考えると結晶こそが現実改変の源であることはなんとなく察することができます。そして、その結晶を用いた技術こそがテラスタルだったわけです。

ということは、本来あり得ないタイプに変化することや単タイプに変化するのも現実改変の一部なのではないでしょうか。しかし、オーブの保存できるエネルギーが多くないために一度きりしか使えないということですね。エネルギーを結晶から直接使う関係でエリアゼロ内部でもチャージができないのだろうという推測も立てられるでしょう。

 総括

まとめると

  • パラドックスポケモンは過去や未来のポケモンではなく、空想の産物を博士が現実のものにしてしまったあり得ざる矛盾に満ちたポケモンだった

  • あまりにも高度すぎる技術がエリアゼロ内部でしか機能していないことや、本と博士でパラドックスポケモンが情報的に完結していることが博士が夢想した楽園という形で再現された結果だった

  • ラスタルもタイプ変更というあり得ざる現象を現実を改変して起こしている可能性がある

  • それら諸々の原因はあの円盤のポケモンではないか

といったところでしょう。もちろん、これらは開示された情報から恣意的に持ってきた結果の産物なので全くの的外れである可能性もあります。タイムマシンとパラドックスポケモンの出現タイミングに関してはこれで説明がつく、というわけではなく元からいたけど新しい個体をタイムマシンで連れてきたというのもあり得る話ではあるので(だとすると博士が張ったバリアというのが全くの無意味なものになりますが)一概に証拠と断ずることは難しいでしょう。

果たして真実やその一端はDLCなどで開示されることがあるのでしょうか?円盤のポケモン幻のポケモンは出そうな雰囲気を醸し出しているので可能性はあるかもしれませんね。それこそ想像した姿であるはずの幻のポケモンがあの姿のまま本当に出現したら、この説は強度を増すことでしょう。なにせいないと半ば断定されているわけですから。そこはこうご期待という感じですね

 余談

これは考察を整理しているときに気づいたのですが、博士の亡くなったタイミングに関しても作中では明確に示されませんでした。数年前から音信不通だったことがペパーから明かされるので少なくともその段階で亡くなっている可能性があるわけですが、個人的には物語の序盤、伝説のポケモンがパルデアを飛ぶシーンの少し前なのではないかと推測しました。

というのも、博士の事故があったときに1号を庇ったということがAIから明かされました。そして、その怪我が元で亡くなったと。そして1号と2号の縄張り争いでもあったわけですね。これも会話の中で明かされている事実です。普通に考えて、縄張り争いで負けてからエリアゼロの内部に長くとどまることは2号が許さないでしょう。それに加えて力を失った後にある程度の時間が空けば回復も多少はすることが予想されますが現実には飛ぶことすらままならない状態で海岸に墜落してしまったわけです。

加えて、2号の転送のタイミングはもし観測ユニットの番号順に日記が書かれたとすると最近のことになるわけです。なにせ第4観測ユニットにあったわけですから。そして、おりしもその観測ユニットの場所こそが事故の現場でもありました。

これらを踏まえると先ほどの結論である、物語冒頭が博士の亡くなったタイミングなのかというところにたどり着きます。脱走した直後にペパーに近い人物が伝説のポケモンを持っていれば、いやでもAIの探査網に引っかかるでしょうし、脱出できたということはすなわち他のポケモンも例外ではないということなので主人公たちに事態の収束を協力させるのも都合がよいでしょう。

そう考えるとペパー君、あと少し早ければ生きた博士に会えたかもしれないということなので余計にあのラストが切なくなりますね......

パフォーマンスやボックス等のシステム面でや対戦の乱数調整で随分とあれている新作のポケモンですが、ストーリーに関しては過去一で面白いと断言できます。願わくば早く修正パッチが施されることを願っています。では~