忍野みみづの日記帳

おえかきとかゲームとかとか

宇宙ゲーと箱庭ゲーの相性

おひさしぶりです。世間をいい意味でも悪い意味でもにぎわせたStarfield、個人的にはかなり楽しみにしていたゲームだったので購入して200時間近くプレイしました。

だけど、何か違う。期待外れ、というわけではないけど期待通りというわけではない。なにか足りないという思いはプレイ時間が積み重なるにつれて強くなっていったわけです。ではなぜか、それを今回は軽く考察していきたいと思います。

ロード

まあこれは多方面から指摘されていることですが、宇宙ゲームのわりにあまりにもロードが多いのはかなり残念で没入感を奪うものだったと言わざるを得ないです。他の作品と比べるのはよくないとは思いますが、多くの作品では星系間の移動にロードが入らないのですね。いや、ロード画面に見えないような工夫がされているといいますか。これは惑星降下でも同様で、悪い方面で有名なNo Man's Skyも惑星降下の時はシームレスにつながっているように見えます。この見えるというのが大事で、ロード時間の長さも相まってStarfieldは一気に安っぽく見えてしまいました。

宇宙船のカスタマイズ性は非常に高く、多少の不便はありつつも結局船内に入るためのロード、惑星から出るためにロード、別の惑星に行くためにロード、着陸するためにロード、船外に出るためにロード、とゲームの半分以上をロードに費やしているのではないかと思ってしまうほどひどいゲームデザインだと感じてしまいます。

陸上に居ても似たような状況は続きます。建物のサイズや全体的な規模が増えた関係でどうしても施設に入る時などはロードを挟まざるを得ないでしょう。それでも、エレベーターでシームレスにつなげたりやりようはあったでしょうか。他のオープンワールドゲームと称しているものとは明らかに方向性の違いが見て取れます。

空虚な施設達

はじめの数十時間はワクワクの連続でした。こんどはどんな施設があるのか、どんな敵がいるのか、興味は尽きませんでした。しかし、それも最初の内だけです。高密度で見るところがある街は主要な都市くらいで、その他はあまりにも没個性なコピペされた建物群。あ、さっき見た奴だを何回も繰り返すのはとても悲しい気分になります。人工物がダメなら自然はどうかというと、宇宙生物もバリュエーションに飛んでいるといえるほどではないし、洞窟なんかは存在意義を疑う酷さです。自動生成された、と一口に言ってもどこに生成するか暗いが関の山な感じはします。名称から構造が想像できるくらいに数が限られているわけですから。

もちろん、種類を増やすというのはプレイヤーが想像する何倍もの作業が必要になるでしょう。モーションやら様々なデータが必要になるわけですから。だけどやっている方にしてみるとそれは見えないのです。

そしてなにより苦痛だったのは徒歩。宇宙を人類が駆ける時代に徒歩!?!?施設から施設に行くまでに数分はかかる上にその肝心の施設も悲しいかな、見たことのあるものばかり。名ばかりのジェットパックで必死に飛び跳ねた結果に見合っていないと感じてしまいます。これも、宇宙船から数キロ範囲でしか動けないようにしたデザインのせいでしょう。車なんてあったらすぐに端にたどり着いてしまいますからね。火星ローバーを生み出したはずの人類の衰退は思ったよりひどかったということですね。

大都市を取り巻く虚無

ジェミソン、ニューアトランティスがある惑星は他の都市が一つもありません。もちろん、入植地なんかは散見されますがあっても五分で見終わるレベルです。はるかアルファケンタウリ星まで来て、都市一つしかないというのもとても信じられません。救いなのは、ニューアトランティスに見るべきものがそれなりにあるということ。ただし、慣れてしまうと却ってロード時間が気になるという。

他の主要都市も同じです。アキラシティもネオンも。その街自体は魅力的ですが、他に何もない。1000の惑星があるはずなのに訪れたいと思える場所は数か所だけ。

宇宙ゲーとオープンワールドの相性

ここでタイトルです。

批判されがちなUBIソフト系のオープンワールドでよくあるフィラーコンテンツばかり、という状態すらできないほどに宇宙は広かったのです。あの手のゲームというのは一定時間移動する距離毎に必ず何かプレイヤーの興味を引く何かが接地されているそうです。しかし、複数の惑星規模でそれをやるとなると予算も時間も容量も圧迫するどころじゃなくなってしまいます。だから空虚になってしまうし、自動生成のコンテンツも広さ故に数が必然的に多くなり重複が目立つようになってしまう。

思うに、あのようなゲームデザインを選んだ時点で運命は決していたように感じます。わざわざ1000の惑星を強調するということは自ら質より量で勝負すると言っているようなものですから。そして、残念な結果に終わってしまったと。

Starfieldが嫌いというわけではありません。200時間近くプレイするだけ楽しめたわけです。手作りされた場所はどれもユニークで面白い物でしたし、宇宙船のシステムなど光るところもあります。

しかし、行ける場所は制限するべきだった。ステーションを増やしたり、主要な惑星にもっとコンテンツを増やすべきだった。これは言っても仕方ないことでしょう。でも期待していただけに言いたくなってしまうんですね。

総合すると、広いオープンワールドはいいけど広さにも限度があった、というところでしょう。ベセスダももしかしたら、あまりに広大な大地を作ったはいいけど扱いきれなかった可能性もあるわけです。過ぎたるは猶及ばざるが如しと言いますが、まさにその通りではないですかね。このゲーム以上に広いNo Man's Skyも大半の惑星は本当に何もないですし。いずれは技術が進歩して複数の惑星規模のゲームも扱いきれるようになれば宇宙版スカイリムなんかが本当の意味で誕生するかもしれないですね。

結局

今年で最も期待されたゲーム、Starfield。買う価値があったとは思います。バグも比較的少なく、自分の環境では割と快適にプレイできました。宇宙船の建造はカスタマイズ性が高く、パーツもそれなりにあってかなり時間をかけて作ってしまうくらいには良いものでした。それでも少し物足りない、そんなゲームだと感じた次第です。ポテンシャルを持ちつつも生かしきれなかったというのが結論です。

とはいえ、このゲームが真価を発揮するのはもう少し後でしょう。本格的にmodの環境が整えば、退屈な惑星や退屈な移動も緩和されることを願っています。現時点でも面白いmodは多数作られていますし、噛めば噛むほど味がするするめゲームとして今の評価を覆していってほしいです。(ただ、mod開発環境もあまりよろしくないという噂を聞くので少し心配です)

では、また